
"記念日"と聞くと、アメリカの小説家の短編小説を思い出します。
誰でも一度は小説で読んだり、そのストーリーが宝石店のコマーシャルとして使われているのを観たことがあると思いますが......ある都会の片隅に貧しい二人の夫婦が住んでいました。
彼らは貧しいながらもつつましく、愛情にあふれた家庭を築いて幸せに暮していました。
クリスマスにはどこの家庭もプレゼントをしあう風習のあるアメリカですが、彼らは、「明日はクリスマス」という日になっても、お互いにプレゼントを買うお金が工面できませんでした。
一瞬諦めかけていた時にふと、妻のデラはきらきら輝く自慢の髪の毛を売ることを思いつきました。
日本でもそのような時代がありましたが、当時のアメリカでも若い女性が長い髪の毛をばっさり切るということは、相当勇気の要ることでした。
けれども彼女はそんなことよりも、ただ夫ジムへのプレゼントを買うことができるというだけで幸せを感じるのでした。
というのもジムは祖父から受け継いだ立派な金時計を持っているのに、それをつける鎖がないために人前で時間を見るときにはいつも、隠れるようにこっそりと見ていたのでした。
デラの美しい髪の毛は20ドルで売れて、彼女は彼の時計にぴったりの鎖を買うことができました。
しかし、その夜にジムがドアを開けて入った時に見たのは男の子のように髪を短く切ったデラの不安そうな顔でした。
彼女はこんなに醜くなった自分を彼が愛してくれるかどうか不安でたまらなかったのですが、茫然とドアの前に立ちすくむビルのところに走って行って、ビルの欲しがっていた鎖を渡すのでした。
ところが、「ビル、これであなたはみんなの前でも堂々と時計を見ることができるわ」と言って渡そうとすると、彼は腕時計を持っていません。
つまり、彼は彼女が以前から憧れていた宝石をちりばめた髪飾りを買うために、自分の大切にしていた腕時計を売ったのでした。
こんなことがあって彼らは以前にもまして、心の奥深くから信頼しあう幸せなカップルとなったのでした。
日本人は愛情表現が苦手だとよく言われますが、今まで照れくさくてできなかったこと、恥ずかしくてできなかったことも"結婚記念日"なら抵抗なくできるようになるかも知れませんね。
夫婦の間はちょっとしたことで崩れてしまうこともありますが、反対にこのようなちょっとした愛情表現ですぐに回復するものです。
そしてそこには前よりも一回り大きくて強い結びつきが生まれてきます。
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